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科学のおはなし ーサイエンス・フェスタ2021ー
電池の仕組みと始まり
―電気はどこから生まれるのだろう?―
大阪産業技術研究所
金属表面処理研究部
表面化学研究室
主任研究員 斉藤 誠
 電池はスマートフォンや携帯ゲーム機、電動アシスト自転車や電気自動車など、私たちの身の回りのたくさんの電気製品のエネルギー源として利用されています。2019年ノーベル化学賞を受賞したリチウムイオン電池をはじめ、乾電池や燃料電池、太陽電池など、多くの種類の電池が私たちの身の回りで用いられています。リチウムイオン電池や乾電池、燃料電池は化学反応によって電気エネルギーを生み出すことから「化学電池」、太陽電池は光という物理エネルギーを電気エネルギーに変換することから「物理電池」と分類されています。今回のサイエンスフェスタでは、主に「化学電池」についてお話しします。
 電池の歴史は意外と古く、レモン電池と同じ仕組みの単純な電池は今から200年以上昔の1800年にイタリアのボルタ(電圧の単位ボルト[V]の語源)によって発明されました。また、マンガン乾電池や自動車用の鉛蓄電池など、現在、私たちが使っている電池の仕組みは100年以上前に発明されています。
 講演では、電池の成り立ちや歴史にはじまり、現在使われている最新の電池についてお話しします。また、簡単に手に入る材料からレモン電池を組み立てて、電池の電圧が使う金属の組み合わせによって変わることを示します。
経歴:
2009年大阪大学大学院工学研究科博士後期課程修了(応用化学専攻)。博士(工学)。
産業技術総合研究所ポスドク研究員、大阪大学技術職員を経て、2015年より現職。
専門分野は無機材料化学、電池技術など。令和2年度「電池技術委員会賞」受賞。